とある場所で小耳に挟んだ小説。
なんでも、外国人の作者が書いた、非常に日本に詳しい描写のあるミステリー小説があるという。その名も「SIBUMI」。日本語の「シブミ」だ。
時代は、ミュンヘンオリンピックのテロ後。パレスチナ過激派の起こしたテロに対する報復を狙うグループの対立を聞きつけた、アメリカの裏会社の動きから始まる。
主人公は「シブミ」を身につけたエージェントで、裏社会の仕掛けた罠から助かった美女の依頼で、裏社会から美女を守るというストーリー、、だと表紙裏の紹介からは読み取れたのだけれど、どうもそうではない。
物語中盤から、そのエージェントの身の上話が主になる。美女そっちのけ。
で、このエージェント、中国の上海で占領軍の日本人将校から囲碁と「シブミ」の心を教わることになる。その後、中国が戦争に巻き込まれていくところで、日本に渡り、碁の先生から日本の心を教わっていく。
この付近のくだりが、かなり興味深い。作者は本当に外国人なのか疑いたくなるほど。ただ、このエージェントの性格については外国人かなと思えるところはある。
戦後すぐの日本の混乱、復興時のあたりはかなり引き込まれるように読んでしまった。
でも、(上)を読み終わったところで、まったく話が進展していないことに気が付く。ここまで、主人公の身の上を掘り下げる必要があるのかはちょっと疑問。まあ、(下)に期待というところか。
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